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創建は江戸幕府開幕前、古刹・長安寺

「深谷山 長安寺」は、江戸幕府が開幕される以前の天正15年(西暦1587年)に、浄土宗 総本山 知恩院の末寺として深誉利貞上人により市谷本村町に創建されたことにはじまります。当時は、太田道灌が江戸城を築城し、その周辺の整備を進めていたときのころになります。
その後、江戸城の周りを徳川家の屋敷町にし、市谷本村町は尾張徳川家の屋敷地いわゆる御用地とされたため、その地に創建された長安寺は、明暦2年(西暦1625年)に現在の地に移転し今に至っております。

 


「四ッ谷繪圖」 嘉永三戌年

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火防地蔵

江戸・青山大火災から四谷の人々を護る

江戸末期の弘化2年(西暦1845年)に、現在の明治記念館付近より出火した青山大火災が発生しました。当時の消防技術では、その火勢を防御することは難しく、四谷の人々を大きな恐怖におとしいれました。ところが現在当寺で「六地蔵」と呼ばれているお地蔵さんの前で火勢が弱まり、四谷の地を火災より護ったことに、人々がその仏護に畏敬を感じ、それ以来「火防地蔵」「火よけ地蔵」と呼び親しんでおりました。

 
 

苦難の明治・大正時代

創建より江戸時代の長安寺を支えてきた檀信徒は、寺社奉行の旗本が中心でしたが、明治維新とともに武家社会は崩壊し、六百石から八百石もとっていた旗本もその禄を失ってしまいました。檀信徒は激減し、また寺領も九百坪から五百坪になってしまいました。そうなりますと寺院運営は、非常に困窮してしまいます。この苦難の時代を支えてくださったのは、足袋製造販売をされていた2軒の個人商店でした。しかし、それだけでは、苦しい状況を好転することはできず、苦難の時代は、大正時代にも引きずられていき、多額の負債と住職のいない無住状態の寺院になってしまいました。
そして、本来の寺院運営の復興は、昭和10年先代住職第二十五世石上教恩上人の入山を待つしかありませんでした。

 

第二十五世石上教恩住職による寺院復興そして空襲

石上教恩住職は、誰もが嫌がる荒廃した当山に、昭和10年、復興を決意し強い志で入山されました。
まず、境内の整備、さらに新しい檀信徒を求めるなどして、復興に全力を注がれたのです。やがて、借金の肩代わりをしていただいた檀信徒からもご信頼をいただけるようになりました。それは、教恩住職が最も大切にされたものが「寺と檀信徒との絆」だったからでしょう。その一途な姿勢が少しずつ理解していただけたのです。そしてその姿勢は、現在の長安寺にも引き継がれています。
苦難の中、一歩一歩復興に向かっていたころ、時代は先の大戦に突入していきます。そして、首都東京は空襲されることになるのです。中でも終戦真際の昭和20年3月10日の空襲は、城東下町に甚大なる火災被害をあたえ、たくさんの尊い命が奪われました。そこで、時の政府は、空襲による火災被害を最小限に抑えるべく、防火線を設けることになりました。
同年3月17日には、外苑西通りと外苑東通りの間、幅50mを防火線とすべく国から長安寺にも撤去命令が発令されました。当時大正大学の寮長をしていました教恩住職は、すぐさまご本尊、過去帳などを大正大学に移動、保管しました。また古くから残る房州石でできた内陣は不燃物として許可され取り壊しを免れることができましたが、5月23日の空襲により、その内陣内部が全て消失してしまいました。さいわい昭和25年11月に仮本堂落成のとき、房州石内陣内部を修復することができ、昭和45年の新内陣完成まで残すことができました。現在は墓地の石塀にその房州石が利用されて、いにしえの歴史を残しております。


第二十五世石上教恩住職

 

再びの復興、そして今日に至る

とにかく先の大戦では、首都東京は焦土と化し寺のみならず、檀信徒もすべて壊滅的被害を受けてしまいました。教恩住職の復興計画も全て一からのやり直しです。それでも教恩住職のお人柄とお檀家様のご理解とご協力により、着々と復興をとげ昭和25年11月に先述の房州石の内陣内部を修復し、仮本堂を落成することができました。
また、昭和45年には新しい内陣と客殿も増築することができました。
そして、幾多の時を檀信徒とともに歩み平成9年4月19日には、火から護られる長安寺の仏護に由来を感じた現住職 第二十六世石上昭教により、老朽化が進んだ建物すべてを特に耐震耐火性にこだわった本堂、客殿、庫裡として刷新されました。
そして、現在に至っております。
天正15年(西暦1587年)の創建より、420年以上様々な困難を乗り越え、その法灯を守り抜いてきたことは、まさに仏護と、長安寺と檀信徒の絆によるものです。

 
 
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